【感想】素晴らしき日々 ~不連続存在~
1作品目。セーブデータを見たら2012年にやったみたいだった。
かなりの部分は忘れているが名作の記憶は十二分にある。
いや重いんよ。重いから2周目はできなかった。
小難しいエロゲ系の有名作品であり、人は選ぶ。
プロット・テキスト・演出・音楽・イラストはすべて高水準。
また作者の熱は非常に感じる作品であることは誰もが認めることだと思う。
音楽といえば劇中曲の「夜の向日葵」が名曲。
モノローグで人生とはみたいなことを考えているときに脳内BGMとして流すくらい。
物語全般のテーマとしては哲学であり、ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論考』がよく引用されている。
残念ながら自分は完全理系人間で、哲学…縁遠いなぁというあれなのだが。
それでも大学の一般教養で哲学やっても面白いかもなと思えるくらいには興味を掻き立てられた。
ここで哲学とはなんぞやと語ってもにわか素人の恥さらしになるだけなので書かなくていいでしょう。
簡単にシステムや流れをまとめる
ストーリーは…一本道と考えた方がいいはず。個別EDはIF扱いだなと。
各章で主人公が違い、1つの事件を別視点から見ていくというもの。
1人目・2人目で分からなかった事件の全容が別主人公から見ることで謎が解明されていくという流れ。
中盤から後半にかけて上記のカタルシスにはテンションがあがった。
キャラクターは…どうだろ。
某主人公も某悪役?(悪役かあいつ?)も好きだが、某主人公が好きと名前を出した瞬間ネタバレのような感じになってしまうので語りにくいなこれ。
キャラゲーというわけではないのでキャラクターについて語るのはなんか野暮な気がする。
好きなヒロインで言うなら希実香が良かった。いや良かったと言っていいのかどうか分からんけど良かった。
希実香EDは理性・理屈ではいやあかんやろと思うのだが…まぁゲームの話だしこういう結末もありかと。
おんなじようにストーリー語ろうとするとネタバレがひどいしまだやってない人の楽しみを奪っちゃうんだよねこれ。
語りずらい…これだから〇〇トリックを使っているやつは…
「幸福に生きよ」
「人よ、幸福であれ」
この言葉は今でも覚えている。
もちろんこのゲームをやっていなくても自分は幸福に生きていただろう。
自分には自分の幸福の定義がありこのゲームがなくてもそこを違えることはなかった。
ただこのゲームを通して言語化できるようになり一層強固になったように思える。
「……さあ、取れ、取るがいい!だがな、貴様たちがいくら騒いでも、
あの世へ、俺が持って行くものが一つある!
神の懐へ入るときはな、俺はこう挨拶をして、
青空の門を広々と掃き清めて、貴様らがなんと言おうと持って行くのだ!
皺一つ、染み一つつけないままで!
それはな、わたしの……心意気だ!」
この言葉は自分の生き方や幸福の形に近いものがある。
自分は死ぬ30秒前に後悔したくない。死ぬ30秒前になんていい奴だったんだ俺はと思いたい。
そのために自分の心に皺も染みもつけたくはない。
他人が不幸なら泣ける他人が幸せなら幸福に感じるそういう人間で居続ける。
そういう人間に自分はなれた。これ以上の幸福はこの世にはないと思っている。
総評
小難しいエロゲをやりたいならオススメ
ただ、いじめやグロ表現、精神的にきつい表現もあるので万人にはオススメできない。
間違いなく名作ではある。